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年金・金融資産公開: 2026年5月27日

預貯金の仮払い制度【2026年版】|葬儀費用に150万円まで使える・必要書類と手順を完全解説

銀行口座は死亡を知った時点で凍結される

故人の銀行口座は、金融機関が死亡の事実を知った時点で凍結されます。役所への死亡届だけでは銀行には連絡が行かないため、通常はご遺族からの連絡や新聞のお悔やみ欄掲載がきっかけです。

凍結されると、ATM での引き出しはもちろん、自動引き落としもストップします。葬儀費用や当面の生活費に困るご家族のために、2019 年の民法改正で 預貯金の仮払い制度 が新設されました。

仮払いできる金額の計算式

法律上の計算式はシンプルですが、実務では「上限 150 万円」の制約で頭打ちになることが多いです。

仮払い可能額 = 死亡時の口座残高 × 1/3 × その相続人の法定相続分
ただし 1 金融機関あたり最大 150 万円

計算例

ケース 残高 法定相続分 計算結果 引き出し額
配偶者1人+子1人で、配偶者が請求 600 万円 1/2 100 万円 100 万円
同上、残高 1,200 万円なら 1,200 万円 1/2 200 万円 150 万円(上限)
子 3 人、長男が請求 600 万円 1/3(子全員で2/3 ÷ 3) 約 44 万円 44 万円
配偶者と子 2 人、配偶者が請求 900 万円 1/2 150 万円 150 万円(上限)

→ 残高が 900 万円を超えれば、配偶者は上限 150 万円 に到達します。

複数の銀行を活用する戦略

「150 万円上限」は 1 金融機関ごと の制限です。複数の銀行に口座があれば、それぞれから 150 万円ずつ引き出せます。

銀行 残高 仮払い可能額
みずほ銀行 800 万円 約 133 万円
三菱 UFJ 銀行 1,200 万円 150 万円(上限)
ゆうちょ銀行 600 万円 100 万円
合計 2,600 万円 約 383 万円

→ 通常 300〜400 万円程度の葬儀費用ならカバーできるケースが多いです。

必要書類

各金融機関で多少違いますが、基本セットは以下:

  1. 故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  2. 請求する相続人の現在戸籍 + 印鑑証明書(発行 3〜6 ヶ月以内)
  3. 請求者の本人確認書類(運転免許証等)
  4. 金融機関所定の請求書(窓口で渡される)
  5. 故人の通帳・キャッシュカード(あれば)

→ 法定相続情報一覧図を取得していれば、戸籍の束を毎回提出する手間が省けます。

手続きの流れ

  1. 銀行に連絡 ― 「故人の口座から仮払い制度を使いたい」と伝える
  2. 必要書類の案内を受ける(電話 or 窓口)
  3. 書類を準備(戸籍取得に 1〜2 週間)
  4. 書類を提出(窓口 or 郵送)
  5. 審査(通常 2〜10 営業日)
  6. 指定口座に振込

→ 連絡から振込まで 2〜4 週間 が一般的。葬儀費用の支払期限(葬儀後 1〜2 週間)と重なるため、葬儀社との支払期限調整が必要です。

150 万円で足りない場合:家庭裁判所の仮分割審判

葬儀規模が大きい・相続税納付の納期が迫っているなど、150 万円では足りない場合は 家庭裁判所への仮分割の申立て が選択肢です。

項目 仮払い制度 家庭裁判所の仮分割
上限額 150 万円/金融機関 上限なし
必要な手続き 銀行窓口 家裁の審判申立
所要期間 2〜4 週間 1〜3 ヶ月
他相続人の同意 不要 不要
費用 戸籍取得実費のみ 申立費用 + 弁護士費用(依頼すれば)

緊急性が高ければ「複数銀行を組み合わせて仮払い」、金額が大きければ「仮分割審判」と使い分けます。

注意点

❌ 引き出した金額は遺産分割で精算される

仮払いで引き出した金額は、後の遺産分割協議で「請求した相続人が既に取得した分」として扱われます。「先取り」ではなく「前借り」の感覚です。

❌ 使途を必ずメモ・領収書保管

葬儀費用に使った分は相続税の債務控除対象になりますが、領収書がないと税務署が認めません。引き出した分を何に使ったかは家計簿レベルで記録しておきましょう。

❌ 借金がある場合は要注意

故人に多額の借金があり相続放棄を検討中なら、仮払いで引き出して**葬儀費用以外に使うと「単純承認」**とみなされ、相続放棄ができなくなるリスクがあります。

まとめ

  • 仮払い制度 は 2019 年新設、葬儀費用や当面の生活費に使える
  • 計算式:残高 × 1/3 × 法定相続分、ただし 1 金融機関 150 万円が上限
  • 複数銀行を組み合わせれば 300〜400 万円程度 はカバーできる
  • 不足するなら 家庭裁判所の仮分割審判(1〜3 ヶ月)
  • 銀行口座の相続手続き全体もあわせて確認

凍結された口座は「動かない壁」ではありません。仮払い制度を正しく使えば、葬儀費用で家計が立ち行かなくなる事態は十分に防げます。

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よくある質問

Q.預貯金の仮払い制度とは何ですか?
2019年7月施行の民法改正で新設された制度で、遺産分割協議が成立する前でも、各相続人が一定額を故人の預貯金から単独で引き出せる仕組みです。葬儀費用や当面の生活費に充てることを想定して設計されました。
Q.いくらまで引き出せますか?
計算式は『死亡時残高 × 1/3 × その相続人の法定相続分』。ただし1金融機関あたり150万円が上限です。例:残高1,200万円・配偶者(法定相続分1/2)の場合 → 1,200万 × 1/3 × 1/2 = 200万円 → 150万円までが引き出し可能(上限到達)。
Q.誰が請求できますか?
法定相続人なら誰でも単独で請求できます。他の相続人の同意は不要。ただし複数の相続人が同じ金融機関から請求すると、合計が上限150万円を超えても各人それぞれ最大150万円まで引き出せます。
Q.どのような書類が必要ですか?
①故人の出生から死亡までの戸籍謄本(または法定相続情報一覧図)、②請求する相続人の現在戸籍、③請求者の印鑑証明書、④請求者の本人確認書類、⑤金融機関所定の請求書、⑥故人の通帳・キャッシュカード(あれば)。詳しくは[銀行口座の相続手続き](/blog/ginkou-kouzoku-souzoku)も参照。
Q.150万円では足りない場合はどうしたら?
家庭裁判所に『遺産分割前の預貯金債権の仮分割』を申し立てれば、上限なしで必要額を引き出せます。ただし申立から決定まで1〜3か月かかるため、緊急性が高い場合は使いにくい制度です。複数の銀行に分けて150万円ずつ引き出す方が現実的なケースが多いです。

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