退職金・死亡退職金にかかる税金|退職所得控除と相続税の非課税枠【2026年版】
退職金には「2つの種類」がある
「退職金にかかる税金」と一口に言っても、実は税金の枠組みがまったく異なる2つのケースがあります。混同しやすいので、最初に整理します。
- 生前に本人が受け取った退職金 … 所得税・住民税の対象(退職所得)
- 死亡後に遺族へ支払われる死亡退職金 … 相続税の対象(みなし相続財産)
同じ「退職金」でも、本人が受け取ったのか、亡くなったあとに遺族が受け取ったのかで、かかる税金の種類が変わります。死後の手続きで関係するのは主に2つ目の「死亡退職金」です。
この記事で分かること
- 生前に受け取る退職金の税金(退職所得控除と2分の1課税)
- 死亡退職金にかかる相続税と、500万円×法定相続人数の非課税枠
- 死亡後「3年」を境に税金の種類が変わること
- 弔慰金は死亡退職金とは別に扱われること
生前に受け取った退職金の税金(退職所得)
本人が在職中・退職時に受け取った退職金は「退職所得」として、所得税・住民税の対象になります。長年の勤労に対する報酬であることから、税負担が軽くなるよう配慮されています。
ポイントは2つです。
① 勤続年数に応じた「退職所得控除」が差し引かれる
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(最低80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年) |
勤続年数の1年未満の端数は1年に切り上げます。たとえば勤続38年なら、控除額は 800万円+70万円×18年=2,060万円。退職金が2,060万円以下であれば、課税対象はゼロになります。
② 控除後の金額の「半分」だけが課税対象
退職所得は「(退職金 − 退職所得控除)× 2分の1」で計算します。控除を引いたうえ、さらに半分にしてから税率をかけるため、給与などに比べて税負担はかなり軽くなります。
「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先へ提出していれば、適正な税額が源泉徴収され、原則として確定申告は不要です。具体的な税額の目安は退職金・死亡退職金 税額試算ツールで確認できます。
死亡退職金の税金(相続税のみなし財産)
本人の死亡後、勤務先から遺族へ支払われる死亡退職金は、所得税ではなく相続税の対象です。民法上の相続財産ではありませんが、相続税の計算上は財産とみなされるため「みなし相続財産」と呼ばれます。
ただし、死亡退職金には非課税枠があります。
死亡退職金の非課税枠 = 500万円 × 法定相続人数
たとえば法定相続人が3人で、死亡退職金が2,000万円だった場合、
- 非課税枠 = 500万円 × 3人 = 1,500万円
- 相続財産に加算される額 = 2,000万円 − 1,500万円 = 500万円
この非課税枠は生命保険の死亡保険金の非課税枠(同じく500万円×法定相続人数)とは別枠です。両方ある場合は、それぞれに非課税枠が使えます。
なお、死亡退職金が相続税のみなし財産になるのは、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものです。3年を過ぎてから支給が確定した場合は、受け取った遺族の「一時所得」として所得税の対象になります。
死亡退職金は相続税の課税対象に含まれるため、遺産総額が基礎控除を超えるかどうかの判定では、忘れずに計算に入れてください。
弔慰金は死亡退職金とは別に扱われる
勤務先から、死亡退職金とは別に「弔慰金」が支払われることがあります。弔慰金は、一定額までは非課税です。
- 業務上の死亡 … 普通給与のおおむね3年分まで
- 業務外の死亡 … 普通給与のおおむね6か月分まで
この目安を超える部分は、死亡退職金と同じ扱い(相続税のみなし財産)になります。勤務先からまとまった金額を受け取ったときは、「死亡退職金」と「弔慰金」の内訳を確認しておくと、相続税の計算がスムーズです。
まとめ
退職金の税金は、「誰が・いつ受け取ったか」で枠組みが変わります。
- 生前に本人が受け取った退職金 … 所得税・住民税(退職所得)。退職所得控除+2分の1課税で負担は軽め
- 死亡後に遺族が受け取る死亡退職金 … 相続税のみなし財産。500万円×法定相続人数まで非課税。死亡後3年以内に確定したものが対象
- 弔慰金 … 死亡退職金とは別。一定額まで非課税
死亡退職金は相続税の判定に影響するため、ほかの死後手続きとあわせて、勤務先への確認を早めに進めてください。
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この記事は一般的な情報提供を目的としています。退職金・死亡退職金の課税関係は、勤続年数・支給形態・相続人数などによって変わります。実際の税額や申告の要否は、税理士または所轄の税務署にご確認ください。
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