届出・証明書2026年5月5日

戸籍謄本の取り寄せ完全ガイド|2024年3月開始の広域交付制度を使った最短ルート

相続手続きの最初の関門が、戸籍謄本の取り寄せです。

「被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍」を全部揃えなければならず、転籍や婚姻があると複数の市区町村に請求することになります。本籍地が遠方にあると、これだけで何週間もかかることも珍しくありません。

ところが、2024年3月1日から「広域交付制度」が始まり、状況が大きく変わりました。本籍地以外の市区町村の窓口でも、一括で戸籍謄本等を請求できるようになったのです。

この記事では、戸籍謄本の取り寄せ方法を、広域交付制度の使い方を中心に、郵送請求や「出生から死亡まで」の戸籍を集める実践手順までを完全解説します。

なぜ相続では「出生から死亡まで」の戸籍が必要なのか

相続手続きの多くで、被相続人の 出生から死亡までの連続した戸籍 が求められます。

たとえば次のような場面です。

  • 銀行口座の相続手続き
  • 不動産の相続登記
  • 生命保険金の請求
  • 相続税の申告
  • 遺族年金の請求

なぜここまで遡るかというと、相続人が誰なのかを法的に確定させるためです。

亡くなった方の現在の戸籍だけでは、過去に認知した子どもや、離婚歴・再婚歴による前妻や前夫との間の子どもの存在が見えません。出生から死亡までの戸籍をすべて確認することで、はじめて「この人の相続人は◯◯さんと△△さんの2人です」と確定できます。

つまり戸籍謄本の取り寄せは、相続手続きの最初に必ず通る関門です。

戸籍謄本の取り寄せ方法は4つ

戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍謄本を含む)を取り寄せる方法は、主に4つあります。

方法 特徴 おすすめ度
広域交付(2024年3月〜) 本籍地以外の市区町村窓口で一括取得 ⭐⭐⭐⭐⭐
郵送請求 本籍地の市区町村に郵送 ⭐⭐⭐⭐
本籍地の窓口請求 本籍地が近ければ最速 ⭐⭐⭐
コンビニ交付 マイナンバーカードで取得 ⭐⭐

それぞれ詳しく見ていきます。

広域交付制度とは(2024年3月1日施行)

2024年(令和6年)3月1日から、戸籍法改正により「広域交付制度」が始まりました。

これまで戸籍謄本は本籍地の市区町村でしか取得できませんでしたが、広域交付制度を使えば 居住地など最寄りの市区町村役場の窓口で、本籍地に関係なく取得できる ようになりました。相続で複数の市区町村にまたがる戸籍を集める場合、これは大きな時間短縮になります。

広域交付で取得できる書類

書類 広域交付対応
戸籍謄本(全部事項証明書) ✅ 取得可
除籍謄本 ✅ 取得可
改製原戸籍謄本 ✅ 取得可
戸籍の附票 ❌ 取得不可(本籍地の市区町村のみ)
一部事項証明書 ❌ 取得不可
個人事項証明書 ❌ 取得不可
身分証明書・独身証明書 ❌ 取得不可

広域交付で取得できる人・できない人

請求できるのは、本人と直系の親族のみ です。

取得できる人

  • 本人
  • 配偶者
  • 直系尊属(父母・祖父母・曽祖父母など)
  • 直系卑属(子・孫・ひ孫など)

取得できない人

  • 兄弟姉妹(広域交付の対象外)
  • おじ・おば
  • 甥・姪
  • 代理人

これは相続手続きで重要な点です。独身の方や、兄弟姉妹のみが相続人となるケース では、広域交付で兄弟姉妹の戸籍は取得できません。郵送請求などの別の方法を併用する必要があります。

広域交付の利用方法

実際に広域交付を利用するには、以下の手順を踏みます。

  1. 居住地などの市区町村役場の戸籍係窓口に行く
  2. 顔写真付きの本人確認書類を提示(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
  3. 戸籍謄本等の交付請求書に必要事項を記入
  4. 手数料を支払って受け取る

注意点として、広域交付は 本人が直接窓口に出向く必要があり、郵送請求や代理人による請求はできません。また、本人確認書類は 顔写真付きが必須 です。健康保険証だけでは利用できないので注意が必要です。

手数料

広域交付の手数料は通常の戸籍取得と同額で、全国一律です。

  • 戸籍謄本:450円
  • 除籍謄本:750円
  • 改製原戸籍謄本:750円

これは戸籍法施行規則で定められた全国共通の金額です。

出典戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)(法務省)

広域交付で取れないものはどうやって取る?

広域交付の対象外となる書類を取得する方法を確認しておきます。

兄弟姉妹の戸籍:郵送請求が基本

独身者や子どものいない方の相続では、兄弟姉妹が相続人になります。この場合、兄弟姉妹の戸籍も必要ですが、広域交付では取得できません

兄弟姉妹の戸籍を取得する方法は次のとおりです。

  1. 郵送請求:本籍地の市区町村に郵送で請求
  2. 本籍地の窓口請求:本籍地が近ければ直接行く
  3. 委任状による代理請求:兄弟姉妹本人から委任状をもらう

実際には1の郵送請求が多くなります。後述する郵送請求の手順をご参照ください。

戸籍の附票:本籍地の市区町村のみ

戸籍の附票(被相続人の住所の履歴を確認できる書類)は、広域交付の対象外です。本籍地の市区町村でしか取得できません。

  • 本籍地の窓口で取得
  • 郵送請求で取得

相続登記で被相続人の住所を証明する際、住民票の除票が取得できない場合(保存期間切れなど)は、戸籍の附票が代替書類になります。

郵送請求の具体的な方法

広域交付が使えないケース(兄弟姉妹の戸籍、戸籍の附票、または広域交付窓口に行けないケース)では、郵送請求が現実的な選択肢になります。

郵送請求に必要なもの

  1. 戸籍謄本等の請求書(市区町村の公式サイトからダウンロード)
  2. 本人確認書類のコピー(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など)
  3. 手数料分の定額小為替(郵便局で購入、450円・750円分)
  4. 返信用封筒(自分の住所を記入、切手を貼付)
  5. 被相続人との関係を証明する書類(自分の戸籍謄本など。請求先によって不要な場合もあり)

定額小為替の注意点

定額小為替は 郵便局でしか購入できません。手数料1枚あたり200円かかります。例えば450円の戸籍を1通請求するなら、450円の定額小為替1枚(購入手数料200円)を同封します。

戸籍が複数に分かれていることが多いため、請求先の市区町村に「いくらぶん必要か」を電話で事前確認すると、過不足なく送れて便利です。多めに同封してもおつりは戻ってきますが、定額小為替の発行手数料分が無駄になります。

返信用封筒のサイズ

戸籍謄本はA4サイズで送られてくるので、返信用封筒は 角形2号(A4が折らずに入るサイズ) が安心です。長形3号(A4を3つ折り)でも入りますが、複数通になると入らなくなります。

切手は返信用に 140円〜250円程度 を貼付します(重さによる)。返信が定形外郵便になりそうな場合は、心配なら多めに貼っておくか、市区町村に電話で確認します。

郵送請求の流れ

  1. 市区町村の公式サイトで請求書様式をダウンロード
  2. 必要事項を記入(被相続人との関係、必要な戸籍の種類、通数)
  3. 定額小為替を購入
  4. 本人確認書類のコピーを用意
  5. 返信用封筒を準備
  6. すべて同封して市区町村の戸籍係に郵送
  7. 1〜2週間で返送される

「出生から死亡まで」の戸籍を集める実践手順

ここからが本番です。被相続人の出生から死亡までの連続戸籍を、実際に集めていきます。

Step 1:死亡時の戸籍からスタート

まず、被相続人が亡くなった時点の本籍地から「死亡の記載がある戸籍(除籍謄本)」を取得します。

  • 死亡届を提出した市区町村が本籍地ならそこから
  • 本籍地が違う場所なら、本籍地の市区町村から

Step 2:1つ前の戸籍を遡る

取得した戸籍の冒頭に「従前戸籍」または「婚姻前戸籍」の表示があります。これが「この戸籍の前にあった戸籍」です。

  • 従前戸籍の本籍地と筆頭者が記載されている
  • そこに記載されている市区町村に、戸籍謄本(または除籍謄本・改製原戸籍)を請求する

Step 3:転籍・婚姻・分籍を追っていく

人生で本籍地を移すイベントは主に次の3つです。

  • 転籍:本籍地を別の場所に移す
  • 婚姻:結婚で新しい戸籍が編製される
  • 分籍:成人後に親の戸籍から独立する

これらが起きるたびに戸籍が編製されているので、過去に遡るには各イベント時点の戸籍を辿ります。

Step 4:改製原戸籍を取得

戸籍は法改正によって何度か様式が変わっており、改正前の戸籍を「改製原戸籍」と呼びます。

主な改製は次のとおりです。

  • 昭和の改製(昭和22年〜32年頃、戦後の戸籍法改正による)
  • 平成の改製(平成6年〜、コンピュータ化による)

改製前の戸籍にしか記載されていない情報があるため、改製原戸籍も必ず取得します。

Step 5:出生時の戸籍にたどり着くまで繰り返す

転籍・婚姻・分籍・改製を辿っていき、最終的に 被相続人の出生が記載されている戸籍 にたどり着いたら完了です。

通常、被相続人が80代で亡くなった場合、5〜10通の戸籍が必要になることが多いです。

広域交付を使えば「直系」だけは一気に取れる

ここまでの手順を、広域交付なら 本人と直系尊属の戸籍を1つの市区町村窓口でまとめて請求できます。これまでなら何ヶ所もに郵送請求していた作業が、1日で完結する可能性があるのが、広域交付制度の最大のメリットです。

ただし兄弟姉妹の戸籍は広域交付の対象外なので、独身の方や子どものいない方の相続では、別途郵送請求が必要になります。

コンビニ交付との違い

マイナンバーカードを使ったコンビニ交付では、自分の戸籍謄本を200〜250円程度で取得できる自治体があります。ただし、相続手続きで使うには注意点があります。

コンビニ交付のメリット

  • 365日6:30〜23:00利用可能
  • 自分の戸籍は取得できる
  • 値段が窓口より安い自治体も

コンビニ交付のデメリット(相続用途で)

  • 本籍地の自治体がコンビニ交付に対応していないと使えない
  • 被相続人(亡くなった方)の戸籍は取得できない場合が多い
  • 除籍謄本・改製原戸籍はコンビニ交付対応外の自治体が多い

コンビニ交付は「自分の最新の戸籍を取得する」用途には便利ですが、相続で必要な「被相続人の出生から死亡まで」を集める用途には不向きです。広域交付か郵送請求のほうが現実的です。

よくある質問

Q. 広域交付では委任状を使えますか?

A. 使えません。広域交付は本人が直接窓口に出向く必要があります。代理人による請求は、郵送請求や本籍地の窓口請求で対応します。

Q. 出生まで何通必要かは事前にわかりますか?

A. 取得してみないとわかりません。被相続人の年齢にもよりますが、80代の方なら5〜10通、90代以上なら10通を超えることもあります。

Q. 戸籍が古くて読めません

A. 明治・大正時代の戸籍は手書きで、変体仮名や旧字体が使われています。市区町村の戸籍係窓口で「ここは何と読みますか」と確認するか、相続手続きで提出する際に窓口担当者に確認してもらうと確実です。

Q. 法定相続情報一覧図と戸籍謄本、両方必要ですか?

A. 法定相続情報一覧図を作っておくと、銀行や年金事務所など複数の機関で「戸籍謄本の束」の代わりに使えるので大変便利です。一度に複数の手続きをする予定があるなら、法定相続情報一覧図を作成することをおすすめします。

戸籍を集めたあと、何をする?

戸籍謄本を一通り集めても、「で、これをどこに出して、何の手続きをすればいいんだっけ?」と次の関門に当たる方が少なくありません。

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