故人の高額療養費は遺族が請求できる|自己負担限度額の早見表と申請方法【2026年版】
故人の医療費、払い戻しを受け取り損ねていませんか
ご家族が長期の入院や手術を経て亡くなられた場合、1か月の医療費の自己負担が大きな金額になっていることがあります。このとき、一定の限度額を超えて支払った分は「高額療養費」として払い戻される仕組みがあります。
ただし、高額療養費は自動では戻ってきません。加入していた健康保険に申請して、はじめて支給されます。故人が受け取る前に亡くなった場合は、遺族(相続人)が代わりに請求することになります。死亡後の慌ただしさの中で見落とされやすく、しかも請求には2年の時効があります。
この記事で分かること
- 高額療養費制度の基本と、故人の分を誰が請求するか
- 70歳未満の自己負担限度額の早見表(区分ア〜オ)
- 「いくら戻るか」の具体的な計算例
- 申請先(協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険)と必要書類
- 見落としやすい2年の時効
高額療養費制度とは
高額療養費制度は、同じ月(1日から末日まで)にかかった医療費の自己負担額が、所得に応じた「自己負担限度額」を超えたとき、超えた分が払い戻される公的医療保険の制度です。
対象になるのは、健康保険が適用される診療の自己負担分です。入院中の差額ベッド代、食事代の一部、先進医療の費用などは対象外となります。
故人が亡くなる前の入院・治療でこの限度額を超えていれば、たとえご本人が亡くなったあとでも、その分を請求できます。
故人の高額療養費は誰が請求する?
ご本人が高額療養費を受け取る前に亡くなった場合、その未支給の高額療養費は相続財産として扱われ、相続人が請求します。
請求の窓口は、故人が亡くなった時点で加入していた健康保険です。なお、健康保険の資格喪失の届出とあわせて案内されることもありますが、限度額の払い戻しは別途の申請が必要です。資格喪失の手続きをしたから自動的に戻る、というものではない点に注意してください。
自己負担限度額の早見表(70歳未満)
70歳未満の方の自己負担限度額は、所得区分によって5段階に分かれます。区分は、被用者保険(協会けんぽ・健康保険組合)では標準報酬月額、国民健康保険では所得に応じて決まります。
| 区分 | 標準報酬月額の目安 | 1か月の自己負担限度額 | 多数回該当 |
|---|---|---|---|
| ア | 83万円以上 | 252,600円+(医療費総額−842,000円)×1% | 140,100円 |
| イ | 53万〜79万円 | 167,400円+(医療費総額−558,000円)×1% | 93,000円 |
| ウ | 28万〜50万円 | 80,100円+(医療費総額−267,000円)×1% | 44,400円 |
| エ | 26万円以下 | 57,600円(定額) | 44,400円 |
| オ | 住民税非課税世帯 | 35,400円(定額) | 24,600円 |
「医療費総額」とは、窓口で支払った自己負担額ではなく、保険適用前の総額(10割)です。
表のいちばん右の「多数回該当」は、直近12か月の間に高額療養費の対象に3回以上なった場合、4回目以降はさらに限度額が下がる仕組みです。長期入院では該当することがあります。
いくら戻るか:計算例
最も多い区分ウ(標準報酬月額28〜50万円)で、1か月の医療費総額が100万円だったケースで考えます。
- 自己負担限度額 = 80,100円 +(1,000,000円 − 267,000円)× 1% = 87,430円
- 窓口での支払い(3割負担)= 300,000円
- 払い戻される金額 = 300,000円 − 87,430円 = 約212,570円
このように、限度額を超えた分がまとまった金額になることは珍しくありません。区分や医療費によって金額は変わるため、高額療養費 還付試算ツールで、おおよその払い戻し額の目安を確認できます。
申請先と必要書類
申請先は、故人が加入していた健康保険によって異なります。
| 故人の加入先 | 申請窓口 |
|---|---|
| 会社員など(協会けんぽ) | 全国健康保険協会(協会けんぽ)の都道府県支部 |
| 会社員など(健康保険組合) | 加入していた健康保険組合 |
| 自営業・無職など(国民健康保険) | 市区町村の国民健康保険担当窓口 |
| 75歳以上など(後期高齢者医療) | 後期高齢者医療広域連合(窓口は市区町村) |
主な必要書類は次のとおりです。
- 高額療養費支給申請書(加入先の様式)
- 医療費の領収書
- 故人の健康保険証
- 申請する相続人の本人確認書類と、振込先口座がわかるもの
- 故人との関係がわかる戸籍など
- (相続人が複数いる場合)他の相続人の同意書・委任状を求められることがあります
必要書類は加入先によって異なるため、申請前に窓口へ確認しておくと二度手間を防げます。
見落としやすい「2年の時効」
高額療養費の請求権には、診療を受けた月の翌月1日から2年という時効があります。2年を過ぎると、本来戻るはずだったお金を受け取れなくなります。
死亡直後は葬儀や届出に追われ、医療費の払い戻しまで気が回らないことがほとんどです。故人の入院・通院の領収書が手元にあれば、ひと月分でも限度額を超えていないか、早めに確認することをおすすめします。
70歳以上だった場合
故人が70歳以上だった場合は、上記とは別の区分・限度額が適用されます。70〜74歳および75歳以上(後期高齢者医療)では、「現役並み所得者」「一般」「低所得」などの区分に応じて限度額が定められており、70歳未満より低めに設定されているのが一般的です。
高齢の方は入院期間が長くなりやすく、高額療養費の対象になっているケースも多いため、年齢にかかわらず一度は加入先へ確認しておくと安心です。
まとめ
高額療養費は、1か月の医療費自己負担が所得区分ごとの限度額を超えたとき、超過分が払い戻される制度です。故人の分は遺族(相続人)が請求でき、未支給分は相続財産として扱われます。
ポイントは3つです。
- 自動では戻らない。加入先への申請が必要
- 2年で時効。診療を受けた月の翌月1日から数える
- 申請先は故人が加入していた健康保険(協会けんぽ・組合・国保・後期高齢者医療)
医療費の領収書を確認し、限度額を超えていそうなら、ほかの死後手続きとあわせて早めに進めてください。
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この記事は一般的な情報提供を目的としています。高額療養費の区分判定・支給額・申請方法の詳細は、故人が加入していた健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村の国民健康保険窓口・後期高齢者医療広域連合等)に必ずご確認ください。
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