みおくりナビ
相続公開: 2026年6月12日

相続の戸籍集めを最短に|広域交付制度と法定相続情報一覧図【完全ガイド】

相続手続きで、いちばん時間がかかるのは「戸籍集め」

ご家族が亡くなったあと、銀行口座の相続、年金の手続き、不動産の名義変更——どの手続きを進めるにも、最初に必ず求められるのが戸籍です。

しかも、必要なのは1通の戸籍謄本ではありません。被相続人(亡くなった方)の「出生から死亡まで」のすべての戸籍を集める必要があります。本籍を何度か移していると、その数だけ別々の役所に請求しなければならず、相続手続きでもっとも時間と手間がかかる場面でした。

ですが、ここ数年でこの負担を大きく減らす2つの制度が整いました。戸籍の広域交付と、法定相続情報一覧図です。この記事では、その2つの使い方を順を追って解説します。

この記事で分かること

  • なぜ「出生から死亡まで」の戸籍が必要なのか
  • 戸籍の広域交付制度(2024年3月開始)の使い方と注意点
  • 法定相続情報一覧図のしくみと作り方
  • 2つの制度を組み合わせて、戸籍集めを最短にする流れ

なぜ「出生から死亡まで」の戸籍が必要なのか

相続手続きでは、まず相続人が誰なのかを確定しなければなりません。

戸籍は、結婚・離婚・転籍・法改正などのたびに作り直されます。最新の戸籍だけを見ても、過去に認知した子や、前の結婚での子がいないとは言い切れません。そのため、出生までさかのぼってすべての戸籍をつなげて確認する必要があるのです。

そして、確定した相続関係を証明するために、銀行・証券会社・年金事務所・法務局(不動産登記)など、ほぼすべての手続き先で戸籍一式の提出を求められます。集めるのも大変、使い回すのも大変——これが従来の戸籍集めでした。

制度1:戸籍の広域交付(2024年3月開始)

何が変わったのか

2024年(令和6年)3月1日から、戸籍法の改正により**「広域交付」**が始まりました。

これにより、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍証明書・除籍証明書を請求できるようになりました。本籍が遠方にあっても、住んでいる場所や勤務先の最寄りの役所で請求でき、複数の地域に分かれた戸籍を1か所でまとめて取得できます。

本籍地ごとに郵送請求していた従来のやり方に比べ、戸籍集めの負担が大きく軽くなりました。

誰が使えるか

広域交付で戸籍を請求できるのは、次の方です。

  • 本人
  • 配偶者
  • 直系尊属(父母・祖父母 など)
  • 直系卑属(子・孫 など)

故人の子や孫であれば、故人の戸籍を広域交付で取得できます。

請求の方法

項目 内容
場所 市区町村の戸籍担当窓口(最寄りでよい)
請求できる人 窓口に来た本人のみ(郵送・代理請求は不可)
持ち物 顔写真付きの身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード・パスポート など)

注意点

便利な制度ですが、いくつか対象外があります。事前に知っておくと、二度手間を防げます。

  • 兄弟姉妹の戸籍は対象外 … 広域交付で取得できるのは直系の関係に限られます。きょうだいの戸籍は請求できません。
  • 窓口で本人が請求する必要がある … 郵送請求、代理人による請求、専門家による職務上請求は広域交付の対象外です。
  • 古い戸籍・抄本は対象外 … コンピュータ化されていない一部の古い戸籍・除籍や、戸籍抄本(一部事項証明書・個人事項証明書)は広域交付では取得できず、本籍地の役所で取得する必要があります。
  • 戸籍の附票は対象外 … 不動産の相続登記などで使う戸籍の附票も広域交付の対象外です。
  • 後日交付になることがある … 本籍地の市区町村に確認をとるため、当日交付されず、後日の受け取りになる場合があります。時間に余裕をもって請求してください。

戸籍の取り寄せ全般については、戸籍謄本の取り寄せ方法もあわせてご覧ください。

制度2:法定相続情報一覧図

集めた戸籍を「使い回せる」ようにするしくみ

広域交付で戸籍を集めても、そのままでは手続き先ごとに分厚い戸籍一式を提出し、返却を待ち、また次へ……という繰り返しが残ります。

ここで役立つのが、法定相続情報証明制度です。2017年から運用されているこの制度では、被相続人と相続人の関係を1枚にまとめた図(法定相続情報一覧図)を作って法務局に提出すると、法務局が認証文を付けた「写し」を交付してくれます。

この写しは、戸籍謄本の束の代わりとして使えます。銀行・証券・年金・不動産登記など、いくつもの相続手続きで、戸籍一式を何度も出し直す必要がなくなります。

無料・何通でも・5年間は再交付できる

法定相続情報一覧図の写しの交付は無料です。しかも必要な枚数を何通でも交付してもらえるため、複数の手続きを同時並行で進めやすくなります。

さらに、申出をした年の翌年から5年間は再交付が可能です(再交付の申出ができるのは、当初の申出人に限られます)。

作り方の流れ

  1. 戸籍一式を集める … 被相続人の出生から死亡までの戸籍と、相続人全員の現在の戸籍をそろえます。ここで前述の広域交付が活きます。
  2. 一覧図を作成する … 被相続人と相続人の関係を1枚にまとめた図を、申出人自身が作成します。法務局のサイトにひな型があります。
  3. 法務局へ申出る … 一覧図と申出書、集めた書類を、法務局(登記所)へ提出します。
  4. 写しを受け取る … 法務局が内容を確認し、認証文を付けた一覧図の写しを、必要な枚数だけ無料で交付します。

主な必要書類

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式
  • 相続人全員の現在の戸籍謄抄本
  • 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • 申出人(相続人の代表)の本人確認書類
  • 法定相続情報一覧図(申出人が作成)
  • 申出書(法務局所定の様式)

一覧図のもとになる相続関係の整理には、みおくりナビの相続関係説明図ツールを下書きとしてお使いいただけます。

2つの制度を組み合わせる

この2つは、組み合わせてこそ効果が大きくなります。

  • 広域交付で、あちこちの本籍地に散らばった戸籍を、最寄りの窓口で速く集める
  • 法定相続情報一覧図で、集めた戸籍を何度でも使い回せる形にする

流れにすると、次のようになります。

広域交付で戸籍を集める → 法定相続情報一覧図を作る → 各手続き(銀行・年金・登記など)で写しを使う

従来は「戸籍を集めるのも大変、使い回すのも大変」でしたが、この2段構えで、戸籍まわりの負担はかなり軽くなります。

まとめ

  • 相続手続きでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍一式が必要
  • 戸籍の広域交付(2024年3月開始)で、本籍地が遠方でも最寄りの窓口でまとめて取得できる
  • ただし、窓口で本人が請求・顔写真付き身分証が必要、兄弟姉妹の戸籍や古い戸籍・抄本は対象外
  • 法定相続情報一覧図を作れば、戸籍の束の代わりに各手続きで使い回せる。無料で何通でも交付され、5年間は再交付も可能
  • 「広域交付で集める → 一覧図で使い回す」の2段構えで、戸籍集めの負担を最短化できる

戸籍がそろい始めたら、次は実際の相続・行政手続きを順番に進めていく段階です。何から手をつければよいか分からないときは、みおくりナビの死後手続きチェックリストで、ご家族の状況に合わせて必要な手続きを一覧にできます。

※ この記事は2026年時点の一般的な情報をまとめたものです。広域交付の取扱いは市区町村によって運用が異なる場合があります。最新の手続き方法や必要書類は、お住まいの市区町村・最寄りの法務局の公式案内をご確認ください。個別の相続のご事情については、司法書士など専門家へのご相談をおすすめします。

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よくある質問

Q.戸籍の広域交付は誰でも使えますか?
請求できるのは、本人・配偶者・直系尊属(父母・祖父母など)・直系卑属(子・孫など)です。兄弟姉妹の戸籍は広域交付では請求できません。また、窓口に来た方の本人確認のため、運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど顔写真付きの身分証明書の提示が必要です。郵送請求や代理人による請求、専門家の職務上請求は広域交付の対象外です。
Q.広域交付なら、必要な戸籍はすべて最寄りの役所で取れますか?
多くの戸籍・除籍証明書は最寄りの窓口でまとめて取得できますが、例外があります。コンピュータ化されていない一部の古い戸籍・除籍、戸籍抄本(一部事項証明書・個人事項証明書)、戸籍の附票は広域交付の対象外で、本籍地の役所で取得する必要があります。また本籍地への確認が必要なため、当日交付されず後日の受け取りになることもあります。
Q.法定相続情報一覧図は何の役に立ちますか?
被相続人と相続人の関係を1枚にまとめ、法務局が認証文を付けて交付する書類です。いちばんの利点は、銀行・証券・年金・不動産登記など各種の相続手続きで、戸籍謄本の束の代わりに使えることです。手続き先ごとに分厚い戸籍一式を提出して返却を待つ、という繰り返しがなくなります。
Q.法定相続情報一覧図の発行に費用はかかりますか?
発行は無料です。必要な枚数を何通でも交付してもらえるため、複数の手続きを同時に進めやすくなります。さらに、申出をした年の翌年から5年間は再交付も可能です(再交付の申出ができるのは、当初の申出人に限られます)。
Q.法定相続情報一覧図は自分で作れますか?
作れます。図そのものは申出人が作成し、法務局(登記所)のサイトにあるひな型を利用できます。被相続人の出生から死亡までの戸籍一式、相続人全員の現在の戸籍、被相続人の住民票の除票などをそろえ、一覧図と申出書とあわせて法務局へ提出します。専門家に依頼することもできますが、自分で行えば費用を抑えられます。

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