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届出・証明書公開: 2026年5月25日最終更新: 2026年5月26日

死産時に利用できる経済的支援と休業制度|出産育児一時金・産後休業・出産手当金

はじめに

妊娠4ヶ月(85日)以降の死産では、健康保険法・労働基準法に基づき 「出産」と同じ扱い とされる制度がいくつかあります。本記事ではそれらの経済的支援・休業制度を整理しています。

申請を急ぐ必要はありません。出産育児一時金などは 出産日の翌日から2年間 申請が可能です。ご本人・パートナー・ご家族の心と体の回復を最優先にしてください。

なお、届出(死産届)や火葬の手続きについては別記事に整理しています。

→ 関連記事:死産届と火葬の手続き(妊娠12週以降)

本文中の制度内容は、2026年5月時点の 厚生労働省・健康保険法・労働基準法・育児介護休業法の公式情報 に基づいています。最新の制度・金額・条件は、ご加入の健康保険組合・お勤め先・年金事務所・厚生労働省の公式ページでご確認ください。

受けられる経済支援 4 制度(ひと目で把握)

死産でも受けられる 4 つの経済支援
SUPPORT 1
出産育児一時金
50 万円
妊娠 4 ヶ月以降の死産・流産も対象
SUPPORT 2
産後休業
8 週間
労働基準法 65 条。死産でも取得可
SUPPORT 3
出産手当金
給与の 2/3
健康保険から、産休期間中の収入補填
SUPPORT 4
保険料免除
産前産後
健康保険料・厚生年金保険料が免除
💡 4 つは 申請が必要。会社の総務・健康保険組合・市区町村役場が窓口です。心身の負担が大きい時期なので、ご家族や信頼できる人に手続きを助けてもらってください。

出産育児一時金(50万円)

支給の概要

出産育児一時金は、健康保険から支給される出産に伴う給付金です。妊娠4ヶ月(妊娠85日)以降の出産 が対象とされており、生児が生まれた場合だけでなく、死産・流産・人工妊娠中絶も支給対象 に含まれます。

支給額(2026年5月時点)

出産時の医療機関等 支給額
産科医療補償制度に加入する医療機関で 妊娠22週以降 に出産した場合 50万円
産科医療補償制度の対象外(妊娠22週未満・補償制度に未加入の医療機関での出産等) 48万8千円

産科医療補償制度は、分娩に関連して重度脳性麻痺となった児に対する補償制度で、加入医療機関で出産した場合に上乗せ分が含まれます。妊娠22週未満の死産の場合は、補償制度の対象外となるため48万8千円の支給額となります。

申請方法

申請方法は、ご加入の健康保険によって異なります。

加入先 申請先・問い合わせ先
会社員(健保組合・協会けんぽ) お勤め先または健康保険組合・協会けんぽ
国民健康保険 お住まいの市区町村役場(国民健康保険担当課)
ご家族の扶養家族(配偶者の被扶養者など) ご家族の加入先の健康保険

支給方法には、医療機関に直接支給される 「直接支払制度」 や、ご本人が一旦立て替えて後日請求する方式があります。多くの医療機関では直接支払制度を扱っており、出産費用と一時金の差額を医療機関の窓口で精算する形になります。

申請期限

出産日(死産日)の 翌日から2年間 申請可能です。

産後休業(労働基準法第65条)

8週間は強制的に休業

労働基準法第65条により、妊娠4ヶ月(85日)以降の流産・死産・人工妊娠中絶を経験した女性労働者は、産後8週間の休業 が保障されています。

これは 本人の希望に関係なく強制的に与えられる休業 で、会社は本人が「働きたい」と希望した場合でも、原則として産後8週間は就業させてはいけません(労働基準法第65条第2項)。

ただし、産後6週間を経過した後、本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務については、就業させることが認められています。

会社が産後休業を取得させなかった場合、労働基準法違反として 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金 が課される旨が定められています(労働基準法第119条)。

産前休業との違い

妊娠中の産前休業(出産予定日の6週間前、双子以上は14週間前から)は、本人の請求が必要 です。死産の場合は、産前休業を取得する前に死産となるケースが多いため、産後休業のみが自動的に適用されます。

母性健康管理措置(1年間の就業配慮)

男女雇用機会均等法に基づき、死産後1年間は、医師の指導があった場合に会社が就業時間の変更・休憩・通院などへの配慮を行う義務 があります。「母性健康管理指導事項連絡カード」(厚生労働省様式)を主治医に記入してもらい、会社に提出することで、必要な配慮を求めることができます。

出産手当金(健康保険)

会社員(健康保険の被保険者)が、出産のために会社を休み、給与の支払いがない期間について、健康保険から支給される手当金です。

支給対象

妊娠4ヶ月(85日)以降の死産・流産も対象 となります。

支給額

支給開始日以前12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日 × 2/3 が、休業1日あたりの支給額となります。

支給期間

通常は「出産予定日以前42日(双子以上は98日)から出産日後56日まで」の範囲ですが、死産の場合は 出産日後56日まで の範囲で、実際に休業した日について支給されます(会社からの給与がない日が対象)。

申請先

ご加入の健康保険組合または協会けんぽ。会社の人事・労務担当を通じて申請するのが一般的です。

なお、国民健康保険には出産手当金の制度はありません。

育児休業は対象外

ご注意いただきたい点として、育児休業は対象外 となります。

育児休業は 生児(生まれて生存している子)を養育する ことを目的とする制度(育児・介護休業法)であるため、死産の場合は対象とならず、産後休業のみが適用されます。

これは法律の建付け上の制約であり、ご事情に配慮した運用とは別の話です。お勤め先によっては、独自の特別休暇・忌引休暇等の制度を設けている場合がありますので、就業規則の確認や人事担当への相談をおすすめします。

健康保険料・厚生年金保険料の免除

産前産後休業期間中(産前6週間・産後8週間)は、健康保険料・厚生年金保険料が事業主分・被保険者分ともに免除 されます。

死産の場合も、産後休業の対象となる期間(8週間)について同様に免除が適用されます。

申請は事業主から年金事務所に対して行うため、お勤め先の人事・労務担当にご相談ください。

国民年金保険料の免除

国民年金第1号被保険者(自営業・フリーランス等)の場合、出産前後の各2ヶ月(合計4ヶ月) の国民年金保険料が免除されます。死産・流産・人工妊娠中絶も対象です(妊娠4ヶ月以上の場合)。

お住まいの市区町村役場(国民年金担当課)に届出を行います。

申請の進め方と注意点

全体の進め方(参考)

体調を最優先に、無理のないペースで進めていただければと思います。以下は一例です。

タイミング 進められること
死産直後〜数日 死産届(7日以内)・火葬の手続き
1〜2週間後 お勤め先への連絡(産後休業の取得)
1ヶ月以内 出産育児一時金の申請準備(直接支払制度の場合は医療機関で完結)
2ヶ月以内 出産手当金の申請(休業日が確定してから)
産後8週間後 復職の準備(医師の診断書・母性健康管理指導カード)

職場への伝え方

死産であることを職場に伝える際の伝え方・範囲は、ご本人にとってデリケートな問題です。

人事・労務担当の方には、産後休業・出産手当金の申請に 「妊娠4ヶ月以降の死産であった」 という情報は伝える必要があります。ただし、同僚や上司に詳細を伝えるかどうかはご本人の判断で構いません。「体調不良で休む」という伝え方でも、人事との間で必要な事務手続きは進められます。

健康保険組合への伝え方

医師が発行する 死産証書 が、申請時の根拠資料となります。健康保険組合・協会けんぽに対しては、申請書に医師の証明欄があるため、別途事情を口頭で説明する必要はありません。

関連リンク

公的相談窓口

本記事の出典・参考

  • 厚生労働省「出産育児一時金等について」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shussan/index.html
  • 労働基準法 第65条(産前産後)
  • 健康保険法(出産育児一時金・出産手当金)
  • 育児・介護休業法(育児休業)
  • 男女雇用機会均等法(母性健康管理措置)
  • 厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」(流産・死産後の労働関係)
  • こども家庭庁「流産・死産等を経験された方へ」(2026年5月時点)

本記事は、2026年5月時点の公的な制度情報をもとに作成しています。制度・支給額・条件は変更される場合があります。最新の情報は、お住まいの自治体・厚生労働省・ご加入の健康保険組合の公式ページでご確認ください。個別のご事情については、社会保険労務士・お勤め先の人事担当・各保険者にご相談ください。

みおくりナビは、ご家族の状況に応じた手続き情報を整理してお届けする情報提供サービスです。法律・労務・心理の専門的な判断は行いません。

よくある質問

Q.死産でも出産育児一時金は受け取れますか?
**受け取れます**。妊娠 4 ヶ月(85 日)以降の死産・流産は健康保険法上「出産」と同じ扱いとされ、出産育児一時金(2026 年現在:1 児につき 50 万円)の支給対象です。健康保険組合または国民健康保険に申請してください。申請には医師の証明書・死産届の写し等が必要で、期限は **出産日の翌日から 2 年以内**。手続きは産科の医療事務に相談すると案内されることが多いです。
Q.産後休業は取れますか?育児休業はどうですか?
**産後休業:取得可能**(労働基準法第 65 条により、医師が許可する場合を除き 8 週間は就業させてはならない)。これは無条件で死産も対象です。一方で **育児休業:原則として対象外**(育児・介護休業法は「子」を対象としているため)。会社独自の制度として「死別休暇」や「特別休暇」がある場合は、そちらを利用できます。総務・人事に確認してください。
Q.出産手当金はもらえますか?
**もらえます**(健康保険の被保険者本人の場合)。死産の場合も「出産日以前 42 日 + 出産日後 56 日」の期間で、給与日額の約 2/3 が支給されます。申請には医師の証明書・健康保険組合の所定書式が必要。期限は **休業開始から 2 年以内**。なお国民健康保険には出産手当金制度はありません(自営業の方は対象外)。
Q.夫(パートナー)も休業を取れますか?
**法定では取得義務はありません**が、多くの会社で「忌引休暇」「死別特別休暇」が用意されており、3-7 日程度の特別休暇を取得できる場合があります。さらに長期の休業が必要な場合は、有給休暇との組み合わせや、会社独自の制度の活用、年休消化等を相談するのが現実的です。総務・人事に「妻が死産した場合の制度」を確認するのが最初のステップです。
Q.経済的に困難な場合の支援制度はありますか?
①**自治体の母子父子寡婦福祉資金貸付制度**(医療費・葬祭費)、②**国民健康保険・健康保険の高額療養費制度**(医療費が高額になった場合の払戻)、③**生活福祉資金貸付制度**(緊急小口資金)、④**産科の医療ソーシャルワーカー相談**(経済的負担への支援案内)、が利用可能です。市区町村の保健センターまたは病院の医療ソーシャルワーカーが、お住まいの自治体に合った制度を案内してくれます。

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