死産届と火葬の手続き|妊娠12週以降に赤ちゃんを亡くされたご家族へ
はじめに
このページに辿りついてくださった方の中には、ご自身またはご家族がいま、深い悲しみの中にいらっしゃる方がおられるかもしれません。
本記事は、妊娠12週以降の死産に伴って必要となる 届出・火葬の手続き を、事実に基づいて整理したものです。手続きの全体像を一覧でお見せすることで、「次に何をすればよいか」をご家族で共有しやすくすることを目的としています。
本文中に登場する制度・手続きはすべて、2026年5月時点の 厚生労働省・自治体の公式情報 に基づいています。重要な判断(医療・心のケアを含む)については、必ず医師・自治体の相談窓口・各種専門家にご相談ください。
妊娠12週以降の「死産」とは
医学的・法的な意味での「死産」とは、妊娠12週(妊娠85日)以降に、赤ちゃんが亡くなった状態で出産した場合 を指します(妊娠12週未満は「流産」として扱われ、後述の死産届の対象外です)。
法的には、昭和21年の 「死産の届出に関する規程」(昭和21年厚生省令第42号) に基づき、妊娠4ヶ月(85日)以降の死産については、出生届ではなく 「死産届」 を提出することが定められています。
死産届の提出(7日以内)
- 1医療機関で死産証書(または死胎検案書)を受け取る出産した医療機関の医師・助産師が記入。届出の右半分が証書になっている
- 27 日以内に市区町村役場へ届出届出義務者:父 → 母 → 同居人 → 立会医師の順。親族・同居人による代理届出も可
- 3火葬埋葬許可証の交付を受ける死産届と同時に取得。火葬を行う火葬場の管轄市区町村でも可
- 4火葬を行う死亡から 24 時間経過後(妊娠 12 週以降は遺体扱い、24 時間ルールが適用)。葬儀社に手配を依頼可
提出期限
「死産の届出に関する規程」第4条により、死産があった日(または死産の事実を知った日)の翌日から7日以内 に届出を行うこととされています。
期限を過ぎた場合、同規程第11条により「正当の事由なく届出を怠ったとき」は500円以下の過料に処せられる旨が定められています(運用上、過料の適用は稀ですが、期限自体は遵守すべき事項です)。
届出義務者の順番
同規程第7条により、届出義務者には以下の優先順位があります。
| 順位 | 届出義務者 |
|---|---|
| 1 | 父 |
| 2 | 母(父が届け出られない場合) |
| 3 | 同居人 |
| 4 | 立会医師 |
| 5 | 立会助産師 |
| 6 | その他の立会者 |
産科で死産となった場合は、医療機関のスタッフが届出について案内してくださることが一般的です。提出は必ずしも父・母ご本人がご自身で行う必要はなく、ご親族や同居されている方が代理で行うこともできます。
必要書類
届出時には、以下の書類が必要です。
- 死産届書(市区町村役場で取得、または医療機関から渡される)
- 死産証書(医師が発行)または 死胎検案書(医師が立ち会わなかった場合)
- 届出人の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)
提出先
死産があった場所の市区町村役場、または 届出人の所在地の市区町村役場 に提出します。市区町村役場の戸籍係(戸籍住民課)が窓口になります。
火葬埋葬許可証の取得と火葬の流れ
火葬は法律で必要
「墓地、埋葬等に関する法律」により、妊娠12週以降の死産児については 火葬を行うことが必要 となります。
火葬許可証の取得
死産届を提出する際、同時に 「死胎火葬許可申請書」 を提出し、市区町村から 「火葬許可証」 を受け取ります。火葬許可証がないと、火葬場で火葬を行うことができません。
火葬の予約と届出の順番は自治体によって異なりますが、一般的には 先に火葬場を決め、火葬の予約をしてから死産届を提出する 流れが多く見られます。お住まいの自治体・産科スタッフにご確認ください。
火葬の流れ
火葬の方法・形式は、ご家族のご意向や宗教的な考え方によりさまざまです。
- 葬儀社を介さず、ご家族と火葬場のみで簡素にお見送りする方
- 通常の葬儀と同様に通夜・告別式を行う方
- 寺院・教会と相談し宗教儀礼を行う方
「こうしなければいけない」という決まりはありません。ご家族にとって納得のいく形でお見送りいただければと思います。費用や流れは葬儀社・自治体に直接ご相談されることをおすすめします。
お骨の供養
火葬後のお骨について、ご家族でお手元供養される、お寺の合祀墓にお預けする、永代供養とするなど、選択肢があります。決断を急ぐ必要はありません。多くの自治体・葬儀社では、ゆっくり考える時間を持つことを推奨しています。
経済的支援について
妊娠4ヶ月(85日)以降の死産については、健康保険から 出産育児一時金 が支給される、勤務先での 産後休業 が法律で保障されているなど、いくつかの経済的・労働的な支援制度があります。
これらの詳細は別記事で整理しています。
→ 関連記事:死産時に利用できる経済的支援と休業制度
なお、こうした申請を急いで進める必要はありません。出産育児一時金などは 出産日の翌日から2年間 申請が可能です。心と体の回復を最優先にしてください。
心と体のケアについて
死産は、医学的に身体に大きな負担がかかる出来事であると同時に、ご本人・パートナー・ご家族にとって深い悲しみを伴う経験です。
「予期しない悲しみが押し寄せる」「日常に戻れる気がしない」「逆に何も感じない」――どれも自然な反応とされています。
公的な相談窓口
- こども家庭庁「流産・死産等を経験された方へ」:都道府県・市町村の相談窓口一覧(PDF・Excel)が公開されています。https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/ryuuzan
- お住まいの自治体の保健所・保健センター:助産師・保健師・心理職による個別相談を行っています。
- 厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」:流産・死産後の働き方・体調管理についての情報が掲載されています。https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/ninshin/ryuzan.html
自助グループ・ピアサポート
同じ経験をされた方が運営する自助グループでは、安心して気持ちを話せる場が用意されています。
- ポコズママの会:流産・死産・新生児死亡を経験した家族のサポートグループ。電話・メール相談あり。
- お空の天使パパ&ママの会:周産期喪失を経験したご家族向けの自助グループ。
参加を急ぐ必要はありません。「ひとりではない」と知っていただくことが、お役に立てればと思います。
医療機関への相談
眠れない・食べられない状態が長く続く、強い不安や落ち込みがある場合は、産科の主治医や心療内科・精神科にご相談ください。早めに専門家に頼ることは、大切な選択肢のひとつです。
関連リンク
- 死産時に利用できる経済的支援と休業制度(記事2)
- 大切な人を亡くした後の心のケア|悲しみとの向き合い方とグリーフケアの基礎知識
- こども家庭庁「流産・死産等を経験された方へ」公式ページ
- お住まいの自治体(市区町村役場・保健所)
本記事の出典・参考
- 厚生労働省「死産の届出に関する規程」(昭和21年厚生省令第42号):https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=08023000&dataType=0&pageNo=1
- 「墓地、埋葬等に関する法律」
- こども家庭庁「流産・死産等を経験された方へ」(2026年5月時点)
- 厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」
本記事は、2026年5月時点の公的な制度情報をもとに作成しています。制度や運用は変更される場合があります。最新の情報は、お住まいの自治体・厚生労働省の公式ページをご確認ください。また、個別の手続き・医療・心のケアについては、専門家・主治医・公的相談窓口にご相談ください。
みおくりナビは、ご家族の状況に応じた手続き情報を整理してお届けする情報提供サービスです。法律・医療・心理の専門的な判断は行いません。