事実婚・同性パートナーに備える|法的備えの基礎

法律上、事実婚や同性パートナーは配偶者として認められないため、法定相続人になれません。長年連れ添ったパートナーに財産を残せない、病院で面会を断られる、医療同意ができない——こうした不安を解消するには、法律が認める範囲で事前に契約や遺言で意思を明確化しておく必要があります。準備さえしておけば、法律上の配偶者と同等かそれに近い保護を受けられます。

今から備えておけること

事実婚・同性パートナーのことについて、事前に整えておくと「その時」にご家族が迷わずに済むポイントをまとめました。

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    遺言書の作成(ほぼ必須)

    遺言書がない限り、パートナーに遺産を残すことはできません。公正証書遺言で「パートナーに全財産を遺贈する」と明記。ただし他に法定相続人(親・兄弟姉妹)がいる場合、遺留分(親は2分の1、兄弟姉妹はなし)を考慮した設計が必要です。

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    養子縁組の検討

    同性パートナー間で親子関係を法的に成立させる方法として、同性カップルに活用されることがあります。相続税も1.6億円の配偶者控除は使えませんが、法定相続人になるため遺留分も発生。メリット・デメリットを弁護士と相談の上で判断を。

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    任意後見契約・死後事務委任契約

    認知症や重病時にパートナーが財産管理や医療同意を代行できるよう、任意後見契約を公正証書で。死後事務委任で葬儀・納骨・遺品整理の権限も付与できます。これでパートナーの「最期」と「その後」を任せられます。

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    生命保険の受取人指定

    保険会社によっては「二親等以内の親族」などの制限がありますが、一部の保険会社は事実婚パートナーや同性パートナーを受取人に指定できるようになっています。保険会社に確認の上、指定変更を。

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    共有財産の契約明記

    不動産の共有登記、預貯金の出捐比率、家電・家具の所有権など、二人で積み上げた財産の所有関係を書面で残しておくと、万一の時に遺産との仕分けが明確になります。

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    病院での面会・医療同意の取り決め

    医療同意書や事前指示書で、パートナーを「家族に準ずる存在」として指定。かかりつけ医院と事前に相談し、緊急時対応を相談しておくとスムーズです。パートナーシップ証明書を取得していれば、病院側の理解も得やすくなります。

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    パートナーシップ証明書の取得(該当自治体)

    全国で400以上の自治体がパートナーシップ制度を導入(2025年時点)。法的効力は限定的ですが、病院面会・公営住宅入居・携帯家族割などで活用できます。お住まいの自治体の制度をご確認を。

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事実婚・同性パートナーのことについてのよくあるご質問

Q.遺言書があれば、パートナーに全財産を残せますか?
遺留分(一部の法定相続人が最低限取得できる割合)に注意が必要です。親が存命なら遺留分(全体の1/3)、子がいれば遺留分(1/2)を主張される可能性があります。兄弟姉妹には遺留分はないため、「親・子がおらず兄弟姉妹のみ」の場合は全額パートナーに残すことが可能です。
Q.パートナーシップ証明書を取得すると法律上の配偶者になりますか?
なりません。現行の日本法では、同性婚は認められていないため、法律上の配偶者としての効力(相続権・税制優遇など)はありません。パートナーシップ制度は自治体レベルで「関係性を証明する書面」を発行する仕組みで、民間サービスや一部の公的手続きで活用される実務的な便益にとどまります。
Q.養子縁組のデメリットはありますか?
メリットは法定相続人化・遺留分発生・相続税の基礎控除増加など。デメリットは①「親子関係」が戸籍に記載される、②解消(離縁)に一定の要件が必要、③後から実子ができても調整が必要、など。長期的な関係性の見通しと合わせて弁護士と相談の上で判断を。
Q.事実婚パートナーは遺族年金を受給できますか?
要件を満たせば可能です。「内縁の配偶者」として認められるには、①同居していた事実 ②生計を一にしていた事実 ③ほかに法律婚の配偶者がいないこと、などが条件。住民票の続柄「夫(未届)」「妻(未届)」の記載や、公共料金・保険の受取人指定などで関係性を立証します。同性パートナーは現行法では遺族年金受給は認められていません。
Q.私たちに必要な手続きをまとめて相談できるところはありますか?
LGBTQ+の法的支援に詳しい弁護士・司法書士や、NPO法人(Marriage For All Japan、虹色ダイバーシティなど)が相談窓口になっています。遺言書の作成、任意後見・死後事務委任契約、税務相談まで一貫して対応してくれる事務所もあります。複数の専門家を組み合わせて相談するのがおすすめです。

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本ページは一般的な情報提供を目的としています。個別のご状況については、司法書士・税理士・行政書士など適切な専門家にご相談ください。

最終更新: 2026/5/13