年金・金融資産2026年5月9日

遺族年金はいくら?|遺族基礎年金・遺族厚生年金の金額・条件・必要書類【2026年度版】

配偶者を亡くしたとき、最も気になるお金のひとつが遺族年金です。

「いくらもらえるの?」「いつまで?」「何を提出すればいい?」――こうした疑問は、どなたにとっても切実なものです。残された家族の生活設計に直結する大切な制度ですが、仕組みが複雑で、家族構成や故人の働き方によって受給額が大きく変わります。

この記事では、2026年度(令和8年度)の最新金額をもとに、遺族年金の支給要件、金額、請求方法を完全解説します。あわせて、2028年4月から施行される制度改正のポイントも紹介します。

まずは判定フローで全体像を把握

遺族年金は、故人の働き方(厚生年金 or 国民年金)と、家族構成(特に子の有無)によって受け取れる年金が変わります。まず以下のフローで、ご自身のケースで何が受給できそうかを把握してください。

遺族年金 受給判定フロー。亡くなった方が会社員・公務員(厚生年金加入)か自営業・専業主婦/主夫(国民年金のみ)かで分岐し、さらに子の有無で4ケースに分かれる。会社員×子ありは遺族基礎年金+遺族厚生年金(月額約13〜18万円)、会社員×子なしは遺族厚生年金のみ(月額約4〜7万円+中高齢寡婦加算)、自営業×子ありは遺族基礎年金のみ(月額約9〜11万円)、自営業×子なしは遺族年金は原則なし(寡婦年金や死亡一時金の可能性)。2028年4月以降の制度改正と受給期間の注意点もあわせて解説。

詳しい支給要件・金額・請求方法を順に見ていきます。

遺族年金は2種類ある

公的な遺族年金には、大きく分けて2種類あります。

種類 加入していた年金 主な対象
遺族基礎年金 国民年金 子のある配偶者・子
遺族厚生年金 厚生年金(会社員・公務員) 配偶者・子・父母など

故人の働き方によって、受け取れる年金が異なります。

  • 故人が 自営業者・専業主婦(夫) の場合 → 遺族基礎年金のみ
  • 故人が 会社員・公務員 の場合 → 遺族基礎年金+遺族厚生年金
  • 故人が 会社員退職後の自営業 の場合 → 状況に応じて両方の可能性あり

両方を受け取れる場合は、併給 されます。順番に詳しく見ていきます。

遺族基礎年金の支給要件と金額

支給要件

遺族基礎年金は、以下のいずれかに該当する方が亡くなったとき、生計を維持されていた遺族に支給されます。

  1. 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
  2. 国民年金の被保険者だった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
  3. 老齢基礎年金の受給権者だった方が死亡したとき
  4. 老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

ただし、保険料の納付期間(免除期間を含む)が、国民年金加入期間の3分の2以上必要です(直近1年以内に未納がなければ要件を満たすという特例もあります)。

受給対象者

  • 子のある配偶者

ここでいう「子」とは、次のいずれかに該当する方です。

  • 18歳になった年度の3月31日まで の方(高校卒業まで)
  • 20歳未満 で障害年金の障害等級1級または2級に該当する方

つまり、子のいない配偶者は遺族基礎年金を受け取れません。これは遺族年金で最も誤解されやすいポイントです。

2026年度(令和8年度)の金額

配偶者が受け取る場合

区分 年額 月額
基本額 847,300円 70,608円
昭和31年4月1日以前生まれの方 844,900円 70,408円

子の加算額

区分 年額
第1子・第2子 各 243,800円
第3子以降 各 81,300円

例えば、配偶者と子2人の世帯なら:

  • 基本額 847,300円 + 第1子加算 243,800円 + 第2子加算 243,800円
  • = 年額 1,334,900円(月額約111,242円)

子が高校を卒業する(18歳到達年度末)と、子の加算額がなくなり、配偶者が受け取る基本額のみになります。すべての子が18歳到達年度末を過ぎると、遺族基礎年金は支給終了となります。

出典令和8年4月分からの年金額等について(日本年金機構)

遺族厚生年金の支給要件と金額

支給要件

故人が以下のいずれかに該当する場合、遺族厚生年金が支給される可能性があります。

  1. 厚生年金の被保険者である間に死亡したとき
  2. 厚生年金の被保険者期間中に初診日のある傷病で初診日から5年以内に死亡したとき
  3. 1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
  4. 老齢厚生年金の受給権者または受給資格を満たした方が死亡したとき

受給対象者

遺族基礎年金より対象者の範囲が広く、以下の優先順位で受け取れます。

  1. 配偶者(子のある妻、子のある55歳以上の夫を含む)
  2. 父母
  3. 祖父母

子のない妻、子のない夫(55歳以上)も対象になる点が、遺族基礎年金と大きく異なります。

ただし、2028年の制度改正でこの構造は段階的に変わっていく予定です(後述)。

計算方法

遺族厚生年金の額は、故人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3として計算されます。

報酬比例部分は、故人の在職中の平均給与と加入期間によって決まります。具体的な計算式は複雑なので、年金事務所で**「年金見込額照会」**をすると、その方の場合の概算額を教えてもらえます。

おおまかな目安として、平均的な会社員(標準報酬月額30万円程度、20年以上勤続)の場合、遺族厚生年金は 年額50万〜80万円程度 が一般的です。

中高齢寡婦加算

概要

子のいない妻、または子が18歳到達年度末を迎えて遺族基礎年金がなくなった妻に対して、40歳から65歳になるまでの間、遺族厚生年金に加算される金額です。

2026年度(令和8年度)の中高齢寡婦加算額は、年額約63万円(遺族基礎年金の4分の3に相当)です。

2028年4月から段階的廃止へ

2025年の年金制度改正により、中高齢寡婦加算は2028年4月以降の新規受給者から段階的に廃止されます。

ポイント 内容
廃止開始 2028年4月1日以降の新規受給者から
廃止スピード 25年かけて毎年26分の1ずつ縮小
完全廃止 2053年に0円となる予定
既受給者への影響 既に受給している方は対象外、影響なし

つまり、2028年3月までに遺族厚生年金を受給開始した方は、現行制度のまま中高齢寡婦加算を受け取り続けられます。

受給期間:いつまでもらえるか

現行制度(2028年3月まで)

受給者 受給期間
子のある配偶者 子が18歳到達年度末まで遺族基礎年金、その後は遺族厚生年金(妻は終身、夫は60歳から)
子のない妻(30歳以上) 終身
子のない妻(30歳未満) 5年間
18歳到達年度末まで
夫(55歳以上) 60歳から終身

2028年4月以降の改正

2025年の年金制度改正により、2028年4月から 遺族厚生年金は男女ともに原則5年間の有期給付 になります(子がいる場合は、末子が18歳到達年度末を迎えた後の5年間)。

これは大きな変更です。これまで「子のいない妻なら終身受給」だった仕組みが、「原則5年間」に短縮されます。

ただし、2028年3月までに受給開始した方は影響なしで、現行制度のまま支給され続けます。

改正点 内容
施行日 2028年4月1日
対象 2028年4月以降に新たに受給開始する方
改正内容 原則5年間の有期給付に変更
男女差 解消(夫55歳以上要件などの男女差を撤廃)
既受給者 影響なし

請求方法

請求先

故人の年金 請求先
国民年金のみ 住所地の市区町村役場
厚生年金あり 年金事務所または年金相談センター
共済年金あり 各共済組合

迷ったときは、最寄りの年金事務所 に相談するのが確実です。年金事務所では遺族基礎年金・遺族厚生年金の両方の手続きを案内してもらえます。

必要書類

主に以下の書類が必要です。請求先や状況によって追加書類があるので、事前に年金事務所に問い合わせるのがおすすめです。

共通書類

  • 年金請求書(年金事務所または日本年金機構のサイトで入手)
  • 故人の年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
  • 故人の住民票の除票
  • 請求者の住民票
  • 死亡診断書(または死体検案書)のコピー
  • 受取先金融機関の通帳の写し
  • 印鑑(認め印で可)

ケースに応じて追加

  • 所得証明書(生計維持関係の確認用)
  • 子の在学証明書(18歳到達年度末以降の請求の場合)
  • 障害状態の診断書(障害のある子について請求する場合)

期限

遺族年金の請求権は、死亡の翌日から5年 で時効により消滅します。

ただし、5年を過ぎても「請求が遅れた正当な理由」があれば認められるケースもあるため、まずは年金事務所に相談しましょう。

請求から受給開始までの流れ

  1. 必要書類を集める(戸籍謄本の取り寄せが時間がかかる)
  2. 年金請求書を作成
  3. 年金事務所または市区町村役場に提出
  4. 審査(通常1〜3ヶ月
  5. 年金証書が届く
  6. 受給開始(年6回、偶数月の15日支給)

家族構成別の受給シミュレーション

ケース1:会社員の夫(45歳)が亡くなり、妻と子2人が残された

  • 故人の平均標準報酬月額:35万円、加入期間:20年
  • 妻:40歳、専業主婦
  • 子:13歳・10歳

受給額の目安

種類 年額
遺族基礎年金(基本額) 847,300円
子の加算(第1子) 243,800円
子の加算(第2子) 243,800円
遺族厚生年金(試算) 約700,000円
合計 約2,034,900円(月額約169,575円)

子が18歳到達年度末を迎えるまで、この金額を受給。その後は妻が遺族厚生年金(と中高齢寡婦加算、現行制度の場合)を受け取ります。

ケース2:自営業の夫(50歳)が亡くなり、妻と子1人が残された

  • 故人:国民年金のみ
  • 妻:48歳、パート
  • 子:15歳

受給額の目安

種類 年額
遺族基礎年金(基本額) 847,300円
子の加算 243,800円
合計 1,091,100円(月額約90,925円)

子が18歳到達年度末を迎えるまで支給。その後は支給なし(自営業者の遺族には遺族厚生年金がないため)。

ケース3:会社員の夫が亡くなり、子のいない妻が残された

  • 故人:会社員、平均標準報酬月額30万円、加入期間15年
  • 妻:50歳、子なし

受給額の目安

種類 年額
遺族基礎年金 0円(子がいないため対象外)
遺族厚生年金(試算) 約500,000円
中高齢寡婦加算 約630,000円
合計 約1,130,000円(月額約94,167円)

現行制度では、妻は終身でこの金額を受給します。

ただし、2028年4月以降に新たに受給開始する方は、原則5年間の有期給付 に変更されます。

よくある質問

Q. 共働き夫婦のどちらかが亡くなった場合、両方の遺族年金が出ますか?

A. 遺族基礎年金は1つだけ、遺族厚生年金は故人の分が支給されます。共働き夫婦のうち厚生年金加入者が亡くなった場合、その人の遺族厚生年金が残された配偶者に支給されます。

Q. 自分自身も老齢年金を受給中です。遺族年金は併給できますか?

A. 自分の老齢厚生年金を優先受給 し、遺族厚生年金との差額が支給される仕組みです(一定の例外あり)。複雑な計算になるので、年金事務所で個別に確認してください。

Q. 内縁の配偶者でも遺族年金は請求できますか?

A. 法律上の配偶者ではなくても、「事実上の婚姻関係」が認められれば対象になり得ます。ただし、生計維持関係や同居の証明が必要で、戸籍上の配偶者がいる場合は受給できません。状況により判断が分かれるので、年金事務所での個別相談が必要です。

Q. 遺族年金は税金がかかりますか?

A. 遺族年金は非課税です。所得税・住民税ともにかかりません。確定申告も不要です。

Q. 請求が間に合わなかった場合は?

A. 5年以内なら遡って請求可能です。5年を過ぎた分については、原則として時効消滅します。ただし「正当な理由」が認められれば例外もあるので、諦めずに年金事務所に相談しましょう。

個別事情は専門家に確認を

遺族年金は仕組みが複雑で、家族構成、故人の年金加入歴、再婚歴、子の有無などによって受給額や期間が大きく変わります。この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別のケースについては必ず 年金事務所 または 社会保険労務士 にご確認ください。

遺族年金請求の前に整理しておきたいこと

遺族年金の手続きを進めるには、まず戸籍謄本など必要書類の収集が前提になります。さらに、遺族年金以外にも、健康保険、介護保険、相続など、期限のある手続きが並行して進みます。


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この記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の受給額判定・手続きは、年金事務所または社会保険労務士にご相談ください。

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