緊急対応2026年5月7日

病院で家族が亡くなったら|最初の数時間にやることを時系列で解説

▼ 最初の3つだけ覚えてください

  1. 死亡診断書を受け取り、提出前にコピーを10枚取る
  2. 近しいご親族(配偶者・お子さま等)に第一報を入れる
  3. 24時間対応の葬儀社に搬送を依頼する(病院紹介は断っても構いません)

この3つができれば、いったん次の段階に進めます。詳細は本文で順を追って説明します。

はじめに

日本では現在、亡くなる方の約7割が病院で最期を迎えます(厚生労働省「人口動態統計」)。突然のことであっても、慢性的な経過を見守った末であっても、「ここからどう動けばよいのか」が分からず立ちすくんでしまう方は少なくありません。

特に深夜や早朝、休日に起きた場合、判断する余裕がないまま病院から「葬儀社をどうしますか」「搬送先はどちらにしますか」と次々に問われ、混乱したまま大事なことを決めてしまいやすい時間帯でもあります。

この記事は、まさに今その状況にいる方、あるいは近い将来そうなる可能性に備えたい方に向けて、病院で家族が亡くなってから最初の数時間で何をするのかを時系列で整理したものです。

この記事で分かること

  • 病院で亡くなった直後の流れ(数時間〜半日のタイムライン)
  • 死亡診断書の受け取りとコピーを取るべき理由
  • 葬儀社への連絡と、病院紹介の葬儀社の扱い方
  • ご遺体の搬送・安置先の決め方
  • 翌日以降にやるべき手続きへの引き継ぎ

「悲しみの中でこんなことを考えなければならないのか」と感じるかもしれません。実際、ご遺族の負担は大きいです。だからこそ、何が来るかを先に知っておくだけで、冷静に判断できる場面が増えます。

病院で亡くなった直後の流れ(全体像)

まずは数時間の流れを俯瞰でつかんでください。それぞれの詳細はこのあとのステップで説明します。

病院で亡くなった直後のタイムライン。1: 死亡確認・死亡診断書の受け取り(0〜30分)、2: 親族への第一報(30分〜1時間)、3: 葬儀社への連絡と搬送依頼(1〜2時間)、4: ご遺体の搬送・安置(数時間以内)、5: 翌日以降の死亡届提出と各種手続きへ。

タイミング やること 主な所要時間
0〜30分 医師による死亡確認・死亡診断書の発行 10〜30分
30分〜1時間 親族への連絡、葬儀社への第一報 状況による
1時間〜2時間 エンゼルケア(病院による死後の処置) 30分〜1時間
2時間〜数時間以内 ご遺体の搬送・安置先への移動 搬送距離による
翌日以降 死亡届の提出、葬儀の打ち合わせ、各種手続きへ 数日〜数ヶ月

病院の霊安室は長期安置を想定していないため、死亡確認後、数時間以内には病院を離れる必要があるのが一般的です。深夜であってもこの流れは変わらず、葬儀社の搬送車(寝台車)を呼ぶことになります。

ステップ1:医師による死亡確認と死亡診断書の受け取り

医師が瞳孔反射・呼吸停止・心停止などを確認し、死亡を判定します。臨終の瞬間に医師が立ち会えなかった場合でも、改めて医師による確認が行われます。

死亡確認が終わると、医師が死亡診断書を発行します。これは亡くなった事実を公的に証明する書類で、このあとのあらゆる手続きの起点になります。

死亡診断書は「死亡届」と一体の用紙

死亡診断書はA3サイズの用紙の右半分に印刷されており、左半分は遺族が記入する死亡届になっています。市区町村役場に提出する際は、この1枚を提出することで死亡届と死亡診断書の両方を提出したことになります。

費用は病院ごとに異なる

死亡診断書の発行費用は病院が独自に設定しており、おおむね3,000円〜1万円程度が目安です。私立病院の方が公立病院より高くなる傾向があり、1万円を超える病院もあります。

なお、事故死や原因不明の死亡で警察の検視を経た場合は「死亡診断書」ではなく「死体検案書」となり、こちらは数万円かかるのが一般的です。

受け取ったらまず「コピーを10枚程度」取る

死亡診断書の原本は1部しか発行されません。この後、死亡届として役場に提出すると原本は手元に戻ってこないため、提出前にコピーを取っておく必要があります。

コピーは多くの手続きで使います。

  • 銀行の口座凍結・解約
  • 生命保険の請求
  • 遺族年金の請求
  • 不動産の名義変更
  • 携帯電話・公共料金の解約

これらに備えて、10枚程度のコピーを取っておくと安心です。原本は1部しかないため、再発行を依頼すると同じ費用がかかります(病院により方針が異なる場合があります)。

コピーは病院内のコピー機、近くのコンビニ、葬儀社が安置先で取ってくれることもあります。すぐに取れない場合でも、必ず役場に提出する前に取ることを覚えておいてください。

ステップ2:親族への連絡

死亡確認のあと、親族への連絡を始めます。深夜や早朝であっても、近しい親族にはその時点で連絡をするのが通例です。

連絡の優先順位は状況によりますが、おおむね以下が一般的です。

  1. 配偶者・子・両親・兄弟姉妹(一親等〜二親等)
  2. 故人と特に親しかった親族・友人
  3. 勤務先(亡くなった本人がまだ就労中だった場合)
  4. それ以外の親族・知人

連絡時に伝えるのは、亡くなった事実・場所・今後の連絡方法の3点で十分です。葬儀の日程や場所はこの時点ではまだ決まっていないことがほとんどなので、「決まり次第改めてご連絡します」と伝えれば構いません。

葬儀の規模感(家族葬か、一般葬か)はこの後の葬儀社との打ち合わせで決まりますが、この時点で「誰に参列してもらうか」をある程度頭に入れておくと、後の判断がスムーズになります。

ステップ3:葬儀社への連絡(搬送依頼)

病院から「搬送先を決めてください」「葬儀社の手配はお済みですか」と聞かれます。霊安室が空いていない病院もあり、できるだけ早く搬送先を決めることが求められます。

すでに葬儀社を決めている場合は、その葬儀社に連絡して寝台車の手配を依頼します。決めていない場合は、ここで葬儀社を選ぶことになります。

病院が紹介する葬儀社についての注意

多くの病院は、提携している葬儀社を紹介してくれます。すぐに対応してくれる安心感がある一方で、病院紹介の葬儀社は費用が高くなる傾向があることが知られています。ある調査では、病院紹介の葬儀社に依頼した場合の平均費用は約123.8万円、自分で選んで依頼した場合は約109万円と、10万円以上の差があると報告されています(葬儀の口コミ調べ)。

これは、葬儀社が病院に紹介手数料を支払っており、その費用が葬儀代金に上乗せされる構造があるためです。

病院紹介を断ってもよい

病院から紹介された葬儀社は断っても構いません。すでに別の葬儀社を考えている場合や、複数社を比較したい場合は、その旨を伝えれば問題ありません。

ただし、「すぐに搬送先を決めなければならない」というプレッシャーの中で冷静に判断するのは難しいものです。次のいずれかの方法で対処することをお勧めします。

  • 平時のうちに葬儀社の候補を1〜2社決めておく(最も理想的)
  • 24時間対応の葬儀社比較サービスに電話で相談する(深夜でも対応してもらえる)
  • いったん「搬送のみ」を病院紹介の葬儀社にお願いし、葬儀本体は別途検討する(ただし安置場所がその葬儀社の施設になると、後から葬儀社を変えにくくなる点に注意)

「見積もり=契約」ではない

葬儀社から見積もりを受け取っても、それで契約が成立するわけではありません。仮に他社にする決断をした場合でも、見積もりを受け取ったことを理由にキャンセル料を請求されることはありません(請求された場合も支払う義務はないとされています)。落ち着いて比較してから決めましょう。

搬送料金の目安

ご遺体の搬送料金は距離で決まることが多く、10〜30kmで2〜3万円が相場です。10kmまでは葬儀パッケージに含まれている葬儀社もあります。

深夜帯(おおむね22時〜翌朝5時)の搬送は深夜料金が加算されることが一般的です。料金体系は葬儀社により異なるため、依頼前に確認してください。

ステップ4:ご遺体の搬送・安置先の決定

葬儀社に連絡すると、寝台車(搬送車両)が病院に向かいます。到着まで30分〜1時間程度かかることが多いため、その間に安置先を決めておきます。

自宅で安置するか、葬儀社の施設で安置するか

選択肢は大きく2つです。

1. 自宅で安置する

  • 故人を自宅でゆっくり見送れる
  • 親族が集まりやすい
  • 一方で、ご遺体を寝かせるスペース(仏間や和室が望ましい)と、室温管理(18℃以下が目安)が必要
  • マンションでエレベーターが小さい場合や、玄関に入らない場合は搬送できないことがある
  • ドライアイスでの保冷費用が1日あたり約1〜2万円かかる

2. 葬儀社の安置施設で安置する

  • 専用の保冷設備があり、ご遺体の状態を保ちやすい
  • 自宅での負担(場所の確保、来客対応)がない
  • 一方で、面会時間に制限がある施設もあり、立ち寄りがやや不便
  • 安置料金が1日あたり1万円前後かかるケースが多い

どちらが良いというものではなく、住居環境・親族の集まりやすさ・葬儀までの日数を踏まえて選ぶのが現実的です。判断に迷う場合は、葬儀社の担当者に状況を伝えて相談しましょう。

ドライアイスと保冷期間

ご遺体は腐敗を防ぐためにドライアイスで保冷します。ドライアイスのみでの保冷の目安は3日程度で、室温管理が適切であれば1週間前後保つこともあります。

ドライアイスは葬儀社が手配し、原則として毎日交換が必要です。費用は1日あたり約1〜2万円が相場です。

なお、日本の法律では「死亡から24時間は火葬してはいけない」と定められています(墓地、埋葬等に関する法律 第3条)。これは、死亡判定の確実性を期すためと、遺族が最期のお別れをする時間を確保するための規定です。そのため、最短でも亡くなった翌日以降の火葬となります。

ステップ5:病院での精算と私物の整理

搬送が始まる前後に、入院費の精算と私物の受け取りを行います。

  • 入院費の精算:当日その場で精算するか、後日請求書を送ってもらうかは病院により方針が異なります。深夜に亡くなった場合は、後日精算の対応になることが多いです。
  • 私物の受け取り:衣類、貴重品、入れ歯、補聴器、義眼、ペースメーカーの有無に関する情報など。ペースメーカーは火葬時に取り出しが必要な場合があるため、装着していた事実は必ず葬儀社に伝えてください。
  • 書類の確認:診断書原本以外に、入院に関する書類(保険関連の領収書、入院証明書など)を受け取ります。これらは後の生命保険請求や高額療養費制度の利用に必要になることがあります。

翌日以降にやることへ

ご遺体を安置先に移したら、いったん長い数時間を乗り越えたことになります。ここからは、葬儀の打ち合わせと並行して、各種手続きを順次進めることになります。

主なものを挙げます。

  • 死亡届の提出(7日以内):死亡診断書と一体の用紙を市区町村役場に提出します。届出が受理されると、火葬許可証が発行されます。詳しい書き方は 死亡届の書き方 をご覧ください。
  • 葬儀の打ち合わせ:日程・形式・規模・予算を葬儀社と決めます。一般的には亡くなった翌日に打ち合わせ、その翌日にお通夜、さらに翌日に告別式・火葬という流れが多いです。
  • 役所手続き・年金停止・健康保険資格喪失届など:葬儀後に順次進めます。期限のあるものが多いため、全体像を早めに把握しておくと安心です。 → 亡くなった後の手続きの全体像

緊急性の高い対応は、最初の24時間にまとめて /saisho のページでも確認できます。

つまずきやすいポイント

最後に、ご遺族からよく聞かれる「あの時こうしておけばよかった」をまとめます。

(1) 死亡診断書のコピーを取り忘れる

最も多い失敗です。市役所に提出してしまうと原本は戻りません。役場に持っていく前に、必ず10枚程度のコピーを取ること。葬儀社が代わりに取ってくれるケースもあるため、迷ったら担当者に相談してください。

(2) 病院紹介の葬儀社で即決して、後から相場より高いと気づく

「断りにくい」「他に頼める葬儀社を知らない」という心理状態は当然のことです。ただし、搬送だけお願いして、葬儀本体は別途決めるという選択肢もあります。安置場所がその葬儀社の施設に固定される懸念がありますが、自宅安置にすれば葬儀社の選び直しは可能です。

(3) 深夜の判断で家族間のすり合わせが不十分なまま進む

深夜の電話だけで「家族葬で」「直葬で」と決めてしまい、翌朝に他の親族から「ちゃんとお別れしたかった」と言われる、というケースが少なくありません。可能であれば、搬送と安置までを優先し、葬儀の規模や形式は親族が集まってから決めるのがおすすめです。

(4) 期限のある手続きを後回しにしてしまう

葬儀が終わった後の喪失感の中で、つい手続きが滞りがちです。ただし、相続放棄は3ヶ月以内、準確定申告は4ヶ月以内、相続税申告は10ヶ月以内など、期限を逃すと取り返しがつかないものがあります。早い段階で全体像を把握し、優先順位をつけて進めてください。

(5) ペースメーカーや医療機器の申告漏れ

ペースメーカーや埋め込み型除細動器は火葬時に破裂する可能性があるため、葬儀社・火葬場への申告が必要です。介護用品(人工肛門、カテーテル等)も含めて、装着していたものは漏れなく葬儀社に伝えてください。

おわりに

病院で家族が亡くなった後の数時間は、誰にとっても初めての経験で、しかも判断を迫られる場面が次々に訪れます。

完璧に対応する必要はありません。死亡診断書を受け取り、コピーを取り、信頼できる葬儀社に搬送を依頼し、安置先を決める。この4つを乗り越えれば、いったん次のステップへ進めます。

そして、葬儀のあとに待っている各種手続きは、期限はあるものの、一つひとつ落ち着いて進めれば必ず終わります。

みおくりナビでは、ご家族の状況に合わせて必要な手続きを自動で絞り込み、期限つきのチェックリストを作成できます。「全部で何をやればいいのか」「何から始めればいいのか」が見えにくい時期に、整理の助けになれば幸いです。

どうかご自身の体調も大切にしながら、無理のないペースで進めてください。

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