親のエンディングノート、何から書いてもらう?記入項目15選と切り出し方
はじめに
親御様が亡くなった後、ご家族が最初にぶつかる壁は「情報が分からないこと」です。どこの銀行に口座があるのか、保険はどの会社か、延命治療は希望していたのか——。エンディングノートは、こうした情報を元気なうちに一冊にまとめておくための道具です。
法的効力はありませんが、残されるご家族の実務負担を数週間〜数ヶ月単位で軽減できる、最もコストパフォーマンスの高い終活ツールといえます。この記事では、親御様に書いてもらいたい項目15選と、切り出し方のコツをお伝えします。
そもそもエンディングノートとは
「もしもの時」に備えて、財産・希望・家族への思いを自由に書き留めておくノートです。
- 法的効力はない(財産の分け方を指定するなら遺言書が必要)
- 書き方は自由(市販のノート、自作メモ、スマホアプリでもOK)
- 途中で書き換え可能(いつでも更新できる)
遺言書が「法的に財産を分けるための文書」なのに対し、エンディングノートは**「家族が必要とする情報を伝えるための文書」**。役割が違うため、両方用意するのが理想です。
親に書いてもらいたい記入項目15選
1. 預貯金の銀行・支店・口座番号
メインバンク、サブバンク、ゆうちょなど、すべての口座を一覧化。通帳の有無、届出印の保管場所も併記するとベスト。
2. 証券口座・投資信託
証券会社名、支店、口座番号、保有銘柄。ネット証券は特にID/パスワードが必要です。
3. 生命保険・医療保険の契約内容
保険会社、証券番号、契約者・被保険者・受取人。受取人が旧姓のままになっているケースが多いので、この機会に確認を。
4. 不動産の情報
自宅、実家、収益物件、山林など。所在地、登記上の名義、権利証の保管場所。
5. 借入金・ローンの有無
住宅ローン、自動車ローン、カードローンなど。マイナスの財産も必ず把握しないと、相続放棄の判断ができません。
6. 年金の種類・受給状況
国民年金、厚生年金、企業年金。年金手帳の保管場所、基礎年金番号。
7. 葬儀の希望
一般葬か家族葬か。宗派、互助会の契約の有無、呼んでほしい人のリスト。
8. お墓・納骨の希望
既存のお墓の有無、霊園との契約、樹木葬・海洋散骨などの希望。
9. 延命治療の意思
人工呼吸器、胃ろう、心肺蘇生を希望するか。かかりつけ医への事前指示があるかどうか。
10. かかりつけ医・持病・服用薬
緊急時に病院へ伝える情報。お薬手帳のコピーでも可。
11. 友人・知人の連絡先
訃報を伝えてほしい人のリスト。電話番号または住所。
12. デジタル資産(スマホ・PC・SNS)
スマホのロック解除方法、主要なSNSアカウント、サブスクリプションサービス、ネット銀行のID(パスワードは別管理推奨)。
13. 貸金庫・金庫の暗証番号
銀行貸金庫の鍵の場所、家庭用金庫の暗証番号。
14. ペットの世話についての希望
飼い主亡き後のペットの引き取り先、かかりつけ動物病院。
15. 家族へのメッセージ
ここだけは自由記述。ご家族への感謝や、伝えたいことを短くても残してもらえると、ご家族の心の支えになります。
親への切り出し方のコツ
「縁起でもない」と嫌がる親御様も多いもの。ストレートに切り出すより、以下の入り方が受け入れられやすい傾向があります。
パターン1: 自分から始める
「最近、自分のエンディングノートを書き始めたんだけど、よかったら一緒に書かない?」
自分ごと化することで、親御様も「協力してくれている」という感覚になれます。
パターン2: ニュースをきっかけにする
「テレビで終活特集やってたんだけど、うちも何かあった時のために書いておいてくれると助かるな」
親御様のペースで検討してもらえる間接的な入り方です。
パターン3: 帰省のたびに少しずつ
一度に全部を聞き出そうとせず、年に2〜3項目ずつ埋めていく長期戦が現実的。正月・お盆・誕生日などが自然な機会になります。
NG: いきなり「もしもの時のために」
「もう死ぬのを前提にしているのか」と受け取られがち。**「残される家族が困らないように」**と伝え方を工夫しましょう。
書き終わった後の保管場所も決めておく
せっかく書いたノートも、ご家族が見つけられなければ意味がありません。以下のどれかに該当させておきましょう。
- ご家族と保管場所を共有(例:「仏壇の引き出しに入れてある」)
- 貸金庫の場合は、開閉権限を持つ家族を指定
- クラウド保存の場合は、アクセス方法をご家族に伝える
よくあるご質問(FAQ)
Q. 市販のエンディングノートと自作、どちらが良いですか?
A. どちらでも構いません。市販のノートは項目が網羅されている反面、書くのに抵抗を感じる方も。自作メモでも「必要な情報が漏れなく書いてあればOK」です。書き始めてもらうことが最優先です。
Q. 遺言書との違いは何ですか?
A. エンディングノートは法的効力なし、遺言書は法的効力あり。財産の分け方を指定するなら遺言書(特に公正証書遺言)が必要で、気持ちや情報を伝えるならエンディングノート。両方あるのが理想です。
Q. 親が認知症の兆候があります。今からでも間に合いますか?
A. 判断能力が明確なうちに書いてもらうのが鉄則です。認知症が進行すると、エンディングノートだけでなく遺言書・任意後見契約も結べなくなります。ご心配な場合は、早めに司法書士や専門家へご相談を。
Q. 兄弟姉妹がいますが、代表で私だけが親と話してもよいですか?
A. 後々の「争族」を防ぐため、兄弟姉妹全員で共有できる状態にしておくのが理想です。親御様と話し合った内容・記入したノートの保管場所は、兄弟全員に伝えておきましょう。
Q. ノート以外に、あわせてやっておくと良いことは?
A. 以下の3つをセットで検討するのがおすすめです。
- 財産目録の作成(ノートの預貯金・保険欄を別紙で一覧化)
- 遺言書(公正証書遺言が最も確実)
- 任意後見契約(認知症に備えて)
詳しくは 親に備える|元気なうちにやっておきたい準備 ページで、親御様のための備え全体をまとめています。
まとめ
エンディングノートは、親御様ご自身の「安心」と、残されるご家族の「時間」、その両方への贈り物です。完璧を目指す必要はありません。今日1項目でも書き始めてもらうことが、最大の前進です。
親御様の状況に合わせた備え全体を整理したい方は、親に備える|元気なうちにやっておきたい準備 もあわせてご確認ください。